平成21年度介護報酬改定後の各種加算の請求実態と加算要件に対する認識に関する調査報告
報 告 書 要 旨
平成21年度の介護報酬改定で見直された加算の請求状況と、加算に対する居宅介護支援事業所の認識を把握するべく、平成21年9月の国保連請求分について、都内の居宅介護支援事業所を対象にアンケート調査を実施し、1,293票(回収率50.4%)の回答を得ました。
結果、加算請求件数が多かったのは認知症加算や独居高齢者加算で、それぞれ全給付管理件数の15%超の割合となっていました。また、認知症加算では請求留保の割合(加算のケースに相当していると考えられるのに請求していない割合)が2.9%と低いのが特徴的でした。この理由として、加算の要件が日常生活自立度III以上とはっきりと数字で示され、介護支援専門員自身ではない別の機関が判定しているので請求しやすかったことが考えられました。一方それと対照的に、医療連携加算は請求留保の割合が63.9%で、その理由として「情報の提供を行わなかった」「病院からの情報提供を求められなかった」などが挙げられていました。退院退所加算も請求留保の割合が30.9%と高く、「病院から情報がもらえなかった」などが理由に挙げられていました。
加算報酬に関しての認識は、「少ない」と答えた割合が高かったのは、初回加算、認知症加算、医療連携加算、独居高齢者加算などでした。「適当」と答えた割合が多かったのは、退院退所加算、独居高齢者加算などでした。「多い」という回答はいずれの加算においてもほとんどみられませんでした。また初回加算と退院退所加算を請求したケースで行った業務を比較すると、その業務量が必ずしも報酬単価に反映されていないことがみてとれました。
さらに、各加算の請求留保割合が、事業所の特性によってどのように異なるか、その関連を検討した結果、医療連携加算では医療系の基礎資格者や経験5年以上の介護支援専門員がいる事業者は請求留保の割合が低いことがわかりました。退院退所加算では介護支援専門員や給付管理件数が多いほど留保の割合が低くなり、規模の小さい事業所では病院との連携や事務処理などが追いつかない可能性が考えられました。認知症加算や独居加算では、常勤専従者数や給付管理件数が多かったり、主任介護支援専門員がいると留保の割合が低くなりました。
アンケートの結果から平成21年度介護報酬改定後の報酬変化を試算してみると、特定事業所加算以外の加算により利用者1人あたり67.6単位、請求留保分も含めると76.2単位上がることになりました。また、特定事業所Iでは、585.9単位、請求留保分も含めると596.4単位、特定事業所IIでは、372.3単位、請求留保分も含めると378.6単位上がる試算となりました。
自由記載で最も多くあげられた意見は「手間や書類など事務負担が増えた」でした。