平成30年度介護報酬改定への当会の見解
平成29年12月27日
平成30年度介護報酬改定への当会の見解
東京都介護支援専門員研究協議会
理事長 小島操
平成30年度介護報酬改定に向けて社会保障審議会介護給付費分科会から審議報告が出されました。これを受けて当会では、当会の『「尊厳の保持」に基づく「自立支援」を守る宣言』を何度でも繰り返し述べます。
自立とはその人の意思が尊重される人生が送れることであり、人生を主体的に生きることであること、私たちはその個別性のある生活を支援するためのマネジメントを行う相談援助職であることをここに宣言するものです。
今回「中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制整備」の中で末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントにおけるプロセスの簡略化等があげられました。このことは、速やかに支援を提供していくうえで、現場の実態に即した内容だと評価しています。
一方で、「著しい状態の変化を伴う」のは悪性腫瘍の利用者だけではなく、「頻回な利用者の状態変化」についても必ずしも悪性腫瘍の利用者に限りません。難病の利用者、認知症の利用者、複数の病気を持つ利用者、また、利用者を取り巻く家族に問題がある利用者についても「頻回な利用者の状態変化」は起こります。私たちケアマネジャーは病名に固定されることなく、利用者の生活への支援を行ってきています。病名によって支援のあり方が変わるものではありません。末期の悪性腫瘍に限らず、緊急に支援を要する病態についても同様の取り扱いを求めるものです。
また「介護保険の理念や目的を踏まえ、安心・安全で、自立支援重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」の中で、「訪問回数の多い利用者への対応」としてのケアプランの届け出が示されました。これについては、適切なアセスメントに基づき行なわれるケアマネジメントについても機械的に判別されることになりかねず大きな疑問を感じています。
相談援助職として「個別性」は支援の根幹です。個別性を重視したアセスメントに基づくケアプランが、たとえ訪問回数が多い結果となったとしても何ら不思議ではありません。むしろ個別のケアプランが全国平均や標準偏差で区分けされることに違和感を覚えます。その目的が、行き過ぎたサービス導入をチェックすることや支援の内容を問うものであれば、それはケアプラン点検等従来の対応でよいのではないでしょうか。
私たちはサービスの調整だけを行っている専門職ではありません。本人を取り巻く環境や家族への支援も含めた相談援助を実践してきています。個別性を重視した支援の中で家族の力にもなり、介護離職を未然に防ぐためにも介護者も含めた相談支援を行ってきました。
地域住民への丁寧な個別支援なくして地域づくり、地域包括ケアシステムの推進はあり得ないと考え、私たちケアマネジャーも、地域の一員として行動していきます。
以上