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平成27年度介護保険制度改正に向けた第2次提言

 当会では、平成27年度介護保険制度改正に向け、会員の皆様より声を集め、去る10月27日に東京都。10月30日に厚生労働省にそれぞれ提言を提出致しました。本HPにて皆様にご報告し、提出した提言を以下に掲載致します。 

   

平成27年度介護保険制度改正に向けた第2次提言

  

特非)東京都介護支援専門員研究協議会

  理事長 千葉 明子

  平成26年6月18日に地域包括ケアシステムの構築を目指して介護保険法が改正されたところです。東京都介護支援専門員研究協議会は、平成27年度の介護保険法改正に向け、平成25年12月に第1次の提言を行いました。現在、国においては法改正を受けて政省令及び介護報酬改定の検討が進められています。この政省令改正等を視野に入れ、東京都の介護支援専門員の職能団体として、ケアマネジメントの向上と、都民が安心して利用できる制度への改善を目指して、以下のとおり提言(第2次)します。 

1 介護予防・日常生活支援総合事業について

  本年7月に平成27年度から開始される新しい介護予防・日常生活支援総合事業(以下、「総合事業」と言う。)の「ガイドライン(案)」が示されたところですが、その内容を見ると、以下の制度の根幹にもかかわる懸念すべき事項がありますので、今後の事業実施に向けて検討すべきです。 

(1)基本チェックリストの実施は専門職に限定を

  今回の改正において、介護保険サービスの利用手続きは、利用者から相談を受けた後、明らかに要介護1以上と判断できる場合、及び介護予防訪問看護等の保険給付が必要な場合以外は、要介護認定の前に、基本チェックリストによる「振り分け」を行うこととされています。

  この基本チェックリストによる「振り分け」は、区市町村の窓口においては、「必ずしも専門職でなくてもよい」とされており、要介護認定を経ないため、明らかな要介護状態(要介護3程度、寝たきり状態)以外の要介護1、2の高齢者が総合事業の対象者と判断される可能性があります。

  この「振り分け」が適切に行われないと、要介護状態に応じた適切なサービス提供が行われず、「要介護状態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資する(法第2条第2項)」という保険給付の理念を阻害してしまう恐れもあります。

  総合事業の対象者に対して、適切な「振り分け」がなされるよう、基本チェックリストを実施する際のより具体的な指標を作成するなどして実施者の視点をそろえるとともに、原則としてその実施者は認定調査員研修に相当する研修を受講した介護支援専門員に限定すべきです。 

(2)介護予防ケアマネジメントのプロセスの省略は、それを補う仕組みの導入を

  介護予防ケアマネジメントについては、ケースに応じ現行と同様の「ケアマネジメントA」、サービス担当者会議を省略するなど簡略化した「ケアマネジメントB」、初回のみケアマネジメントを行う「ケアマネジメントC」に類型化する案が示されています。

  今回の類型化案のB、Cは、原則通りのプロセスを踏まないものであり、ケアマネジメントとは言いません。示された方法のサービス提供により、例えば、Cの場合、初回以降の利用者の状態変化が把握できなくなるなど、利用者の自立支援が損なわれることを懸念します。

  利用者の自立支援のため、ケアマネジメントのプロセスを省略する場合には、モニタリングに相当する仕組みを導入すべきです。 

  また、総合事業の実施に当たっては、早急にサービス提供の体制の変更や、生活支援サービス・介護予防サービスの体制整備が求められます。区市町村が責任を持って取り組み、区市町村間の格差により利用者に不利益が生じないよう、国及び都道府県が財政及び技術的支援を行うべきです。 

2 小規模な居宅介護支援事業所の支援を

  介護支援専門員は、地域包括ケアシステムにおいて、利用者が24時間365日安心して生活が続けられるよう支援するという大変重要な役割を担っています。その役割を果たすためには、何よりもケアマネジメントの質の向上が必要と認識しています。

  都内の居宅介護支援事業所内の介護支援専門員の配置数をみると、1人配置、2人配置の事業所が49.1%と約半数に至っています。小規模な事業所では、小規模ゆえに、24時間365日の対応、事業所内の介護支援専門員同士のスキルアップの機会の確保、人材の育成などの面で対応が困難な状況に置かれる場合がありますが、事業所の規模の大小にかかわらず、利用者に対してはこれらの支援を行うことが求められます。                         

  このような居宅介護支援事業所に対して、地域の中でOJTの仕組みを作るなどの支援を行うとともに、医療保険における機能を強化した在宅療養支援診療所(連携型)の例のように、複数の居宅介護支援事業所がグループを組んで居宅介護支援を行う場合を評価する仕組みとして、特定事業所加算Ⅱに準じた加算の創設を提案します。  

3 施設におけるケアマネジメントに評価の仕組みの導入を

  計画作成担当者として介護支援専門員の配置が義務付けられている施設においては、本来、施設が直接提供する介護サービスと生活支援サービス、介護予防に資するその他サービス提供者との連携をとる必要があります。また地域包括ケアシステムの構築に向けては、地域の様々なサービスを積極的かつ有機的に活用したケアマネジメント実施が必須となり、各サービス提供者との綿密な連携をとる必要があります。

  そのためには、今まで以上に施設ケアマネジメントを十分機能させることが重要だと考えます。また施設利用者の予防及び重度化に対応するためにも、包括的介護報酬とは別に、新たな基準と報酬のもと、施設のケアマネジメントを独立した評価とする仕組みを設けるべきです。 

4 地域の実情に応じた地域区分の設定を 

  地域区分は国家公務員の地域手当を基に決められていますが、国の官署が存在しない区市町村は、医療保険の診療報酬の対象となる地域の考え方を踏襲して、当該区市町村の周辺地域の一番低い区市町村の区分を準用しています。   

  このため、周辺地域の区市町村との報酬上の格差により、当該区市町村への新規事業所の開業が滞るなど社会資源への影響が懸念されます。

  国の官署が存在しない区市町村の地域区分については、地方公務員の地域手当を参考とするなど地域の実情に応じた設定をすべきです。

以上

 

      

 

公開: 2014年10月30日  最終更新:2014年10月30日